2014年01月23日
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三百字小説『メリクリ3年柿8年』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 「サンタさん、あたし柿が欲しい」

 「ダメだよ。お願いしてすぐに来るわけじゃない」

 「なんで?」

 「サンタさんにも準備が必要なんだ」

 「どれぐらい?」

 「メリクリと言ってからプレゼントが来るまで3年。柿が来るには8年掛かるんだ」

 「ふーん。サンタさん8年後に柿を下さい。お願いします」

 やがて私も大人になった。

 サンタさんなんていないと知った。

 「そうか、パパが言いたかったのは8年も経てば大人になるからサンタさんからのプレゼントが無くても分かるってことね」

 だがサンタは実在した。

 8年がかりだが柿は届いた。

 ……8年後に届いた柿は既に腐っていた。

(遠野秋彦・作 ©2014 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦